この小冊子を最初に読んだ時は、目眩にも似た奇妙な感覚があった。
記事はきちんと取材をしてああることがわかる。事実だ。
でも、文章の独特な歩の進め方、丁寧に掬い取られた写真、幻想的なイラスト、、、
読み進めると、不意に私の中にあるイメージが変容してくるのだ。
これは津市だっただろうか。
ふと不安になって思い返す。
確かに三重県津市だ。
三重県津市なのに、私の知らないまちがそこにあるかのようだ。
いつも見ているはずの見たことのないまちは、いつも誌面で新たな景色を見せてくれるのだ。
実はKalasは県外の人に見せると評判が良い。
素敵な冊子だね、いいまちだね、と言ってくれる。
本当のところはどうなんだと聞くと、3割お世辞、7割本心だという。
7割本心なら上等じゃないか。
むしろ目眩を覚えた私は、綴られたまちを素直に見られていただろうか。
まちの飛び方を忘れたんじゃないだろうか。
津は飛ばないまちだと。
ところがKalasは今も飛んでいる。
どこからいい景色が見えるのかも多分知っている。
Kalasが創刊して近々10年になるという。
これまでKalasは飛びながら様々なまちの姿を我々に見せてくれた。
我々もKalasという翼を得て空を飛べば、津というまちも飛ぶかもしれない。
三重県津市の小冊子カラスのホームページ
主題:錆びた依り代 嚥下 迂回路 技師の青春 鉄の地層 錆びた依り代 錆びない心 写真:界隈 [松原 豊] 博愛:烏ノ保護観察会 視点:サエズリ 街烏 ミセス大門による金魚すくい論[増田亮子] 里烏 大浦絵画教室の想い出と大浦峰朗先生[加藤穂高] 焦点:絞り羽根 空を夢見た男たち[中村光司] 絵本:ストーブの娘 [つつみあれい] 後記:烏ノ足跡 蛇足:凸凹ノ目
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